法令遵守マニュアル
【基本姿勢】
このマニュアルは、株式会社安藤製作所(以下「法人」という。)における業務を行う上で、特に注意を要する事項についてまとめたもので、あらゆる事業を網羅するものではなく、あくまでも基本的な方向性を示すものです。
ここに触れられていない問題や、自分一人では解決の難しい複雑な問題については、直属の上司、管理者などに相談するように心がけてください。
法令遵守をおざなりにすることは、法人の信用を損ね、時にはその生命を絶つ禍根となることは近年の情勢を見れば明らかです。
大切なことは、私たちが日常の業務などに疑問を感じたら、それを声に出すということであり、また組織がひとりひとりの声を拾い上げやすい環境になっていることなのです。
したがって職員も「自分には関係ないから」とか「誰かが解決してくれるだろう」というような無責任な態度であることは、法人や施設の立場を危うくすることはあってもよくすることはありません。
働き甲斐のある職場、誇りを持って働ける職場を作るためにも、法令遵守の実践に努めてください。
ここで言う法令順守とは、職責や職場における人間関係、利害関係からいったん離れて、公平な第三者の立場から自分たちのとっている行動を質すことにほかなりません。
したがって、法令遵守のために立ち上がった職員の相談や報告に対しては、充分なプライバシーの保護措置がとられることが大原則です。
また、その活動に対して制約や報復、揉み消しなどの行為が行われるようであれば、法人は事実関係を調査した上で直ちにそれを正してゆきます。
問題があれば、勇気をもって声を出すように心がけてください。そうすることこそ私たちが地域からより信頼を受け、働きやすい職場になる最良の方策だからです。
令和3年4月1日
株式会社安藤製作所
代表取締役安藤俊之
【基本原則】
1)私たちは法人の担う社会的責任と公共的使命を認識し、健全な業務運営を行います。
2)私たちは法令の文言はもちろん、その精神までを遵守してゆきます。
3)私たちは自己原則を基本として、公正公平な事業運営を展開します。
4)私たちは利用者の安全と安心を守るとともに、自立支援と利用者本位の精神を尊重し、誠実な施設運営を展開します。
5)私たちは利用者はもちろんのこと、その他すべての関係者の人格を尊重し、地域福祉の健全な発展に貢献します。
6)私たちは法人が自己の利益だけを追求する存在でないことを認識します。
7)私たちは利益と倫理が相反する場合は迷わず倫理を選択します。
8)私たちは反社会的勢力については断固とした態度で臨みます。
9)私たちは地域社会に貢献し、地域の未来により豊かで公正な社会を残すよう尽力します。
10)私たちは難解な倫理問題に直面した時、誰もが満足できるような解決策を積極的に創造していきます。
【法令や法令遵守に関する規定に違反した場合】
1.(違反時の罰則)
違反行為に対しては就業規則に基づいて懲戒解雇を含む措置をとる場合があります。
2.(終業時の制約)
職員は、法令ならびに職場内の規約を遵守する旨を制約することによって雇用契約されます。
【利用者および取引相手に対する行動規範】
1.(守秘義務)
職員は職務を通じて知りえた情報を、本人やご家族の同意なしに正当な理由なく谷マラしてはなりません。
なお、この守秘義務は退職などによって職場を離れた場合においても継続します。
2.(説明義務・適合性の原則)
サービスを提供するにあたっては、職員はサービスの快適性や有効性ばかりを解説するのではなく、ご利用者にとっての必要性、経済能力なども考慮しながら、本当に必要なサービスを提供することを目的とした説明を行います。
また、利用者や家族の要求を優先するあまり、利用者の自立を妨げるようなサービスを提供することのないよう常に自戒し、ときにはサービスの提供そのものを断り、その利用者に合ったサービス提供のできる他事業所を紹介する決断も必要です。
3.(リスクの説明)
職員はサービスを説明する場合、あらゆるリスクを想定した上で説明を行います。また、法人の責任範囲についてもあいまいにせず、利用者やその家族の誤解を招くことのないよう充分配慮し、可能な限り書面をもって説明し、必要に応じて記録を残します。
4.(誠実な態度)
利用者やその家族に説明や相談をする場合は、たとえ一職員であっても法人を代表しての発言であることを認識し、無責任な回答を行ってはなりません。
その相談がその場においてすぐに回答できない場合にも「私には関係ないので他の人に聞いてほしい」といった態度をとることなく、誠実に調査した上で回答をするように心がけます。
5.(利用者との癒着の禁止)
職員はいかなる行為であれ、利用者と法人との立場の違いをあいまいにするような依頼に応じてはなりません。利用者本位とは特定の利用者の要望、依頼を全て受け入れることではないからです。
6.(情実取引の排除)
職員は縁故者や友人、その他何らかの個人的利害関係のある利用者や取引先が現れた時、その旨を直属の上司に報告して情実的な関係に傾かないように考慮し、必要に応じて指示を受けなければなりません。
7.(公正な取引先選定)
職員は、品質、サービスの内容、価格、過去の実績、信頼度等を総合的に判断し、それに基づいて取引先を決定しなければなりません。
そのため、納入業者等から金品や接待を受けてはなりません。
また、必要に応じて入札、複数社からの相見積もりを取るなどの措置をとり、評議員会、理事会においてその取引の公正性の説明を行います。
8.(リベート要求の禁止)
自己の立場を利用して、たとえ間接的な表現であっても取引先に金品や接待を求めてはなりません。
なお、許容範囲にあると思われる行為でも、それが第三者の目には不自然な行為に映る場合もありますので、注意を怠らぬように配慮します。
【福祉事業者としての行動規範】
1.(社会福祉法、障害者総合支援法等、児童福祉法関係法令の遵守)
社会福祉事業を行う者として社会福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法等の関係法令の遵守は当然の義務であり、法の精神を逸脱した事業運営を行うことは、法人としての存在を損ねかねないものとして厳に慎まなければならないことです。
2.(利益追求の制限)
職員の幸福や法人の存続のためには利益を上げることは必要ですが、私たち福祉事業者は強引な方法によって利益を追求するものではありません。
時と場合によっては利益を放棄した上で福祉活動を行うこともあることを心に留め置いてください。
3.(人員配置基準の遵守)
法人は職員に欠員が出た場合は、早めに補充を行い、あるいはあらかじめ欠員に備える対策をとるなど強い組織づくりを考えます。
不測の事態が生じた場合は関係諸機関などに相談の上、定員の変更や減産などの対応策を考えましょう。法令順守をすることが結局は利用者の幸せを守ることになるからです。
4.(資格の確認)
法人人事部は職員の資格証を就業時に原本確認の上でコピー保存します。
5.(定員の遵守)
私たちはあらかじめ定められた基準を上回る定員を受け入れることはしません。定員をオーバーすることがすでに利用している利用者の幸せを奪う結果をもたらすことになるからです。
ただし、虐待や緊急災害時など市町村から措置命令が下された場合は、法の定めるルールに従うものとします。
6.(平等な受け入れ)
利用者を受け入れる場合は、定められた基準に従って平等な受け入れを行うように心がけます。
ただし、どうしても優先受け入れを行うことが人道上必要だと判断された場合は、入所判定会議を招集するなどの措置をとり、その方の優先的受け入れが必要であることを説明して記録を残す必要があります。
また、利用者が望んでも受け入れができないケース(定員遵守のため、受け入れ難い重篤な病状の保持者など)については、誤解のないように誠意をもって説明を行います。
7.(設備基準の遵守)
設備基準の遵守はもちろんのこと、設備の破損・故障の有無を常に点検し、利用者が安全で快適な生活ができるよう改善します。
8.(消防法の遵守)
避難路に可燃物や障害物が置かれていないか、スプリンクラーの散水障害になるものはないか日常的に確認します。
また、各施設で消防法に定められた防災訓練を事業計画に記載し実施するとともに、非常連絡網を整備して緊急事態に備えます。なお、消防法上の計画や点検は防火管理者が中心になって行っています。
9.(労働者の保護)
私たち福祉事業者は、労働者の権利を奪うような行為や労働者の犠牲の下に福祉を推進するような行為、命令があってはなりません。
また、職務を離れた状況における職員の行動は、公序良俗に反せず社会人の常識の範囲にある限り法人が関与すべきものではありません。
労働者の自由と幸福を保障することが、ご利用者の幸福を結局は導くものであるからです。
10.(他事務所と連携と独立性)
事業運営する上で、他の事業所と連携、協力体制をとることは、ご利用者にとって有益な場合があります。ただし、連携を重視するあまり、特定の事業所に必要以上の便宜を図り、その他事業所やご利用者の利用を制限することは許されません。
連携を図ったとしても事業所としての運営は独立を保ち、自主の公正な判断において法令遵守に努めましょう。
【福祉従事者としての行動規範】
1.(身体拘束の禁止)
福祉事業者として、人間として、身体拘束は悪であり是認されるべきものではありません。拘束は直接身体を縛ることだけではなく、行動範囲を狭めること、過剰な投薬をすること、さらには制約的な命令をすることまでもが含まれます。
やむを得ず身体拘束が必要と思われるときは、緊急性、非代替性、一時性を確認し、ご家族の了解を得た上で期間を定めて拘束を実施することにもなります。
ただし、この場合においても『身体拘束は悪であること』を私たちは忘れないようにしましょう。
2.(虐待の防止と通報の義務)
虐待が疑われる証拠を発見した場合は、状況を精査の上、直ちに市町村にその事実を報告しなければなりません。
事実を知っていたにもかかわらず通報をしないことは、虐待をしているものと同じ罰則を受けます。虐待発見時の通報は私たち福祉事業職員の義務なのです。
3.(交通法規の遵守)
私たちは業務上、あるいは業務に就くために車両を運転することの多い職種です。交通法規を守り、運転マナーを身に付けるのは社会人としての常識と心得ましょう。
とくに飲酒運転事故に対しては、私たちは懲戒免職などの厳しい処罰を受けることを知っておきましょう。なお、交通安全に関する啓蒙は安全運転管理者と共同で行います。
4.(法人財産の尊重)
全ての職員は法人の財産を尊重しなければなりません。法人の所有物を持ち帰る行為などは言うまでもなく、業務とは関係ない電話の使用、備品や燃料、電気、水道の無駄遣い、必要ない物品の大量購入などは厳に戒めてください。
5.(公正な経費処理)
職員は、旅費、交通費、残業請求、有給休暇申告などを正確に行わなければなりません。経費については実際にかかった費用を領収書と引き換えに精算するのが原則です。なお、精算方法の不明な点(JRの利用など領収書がないケース)などは担当者に必ず相談してください。
6.(記録・マニュアル類の整備)
事業を行う者として各種の記録を整備し、また職員間の伝達に関しても常に配慮、改善を続けることを私たちは心がけます。
また、マニュアル類は少なくとも年1回は見直し、法と実態に合わせた内容にしておきます。また、必要に応じて新しいマニュアルを作成しておきます。
7.(内部ルールの確認)
職員は内部ルールの変化に常に気配りをし、連絡ノートの確認をする習慣をつけましょう。ルール変更の伝達ミスは、利用者に重大な危険をもたらすことがあります。「知らなかった」「教えてもらっていない」で済ませず、伝達機能の改善についても気を配りましょう。
ルールに合わない事象が生じたら、処遇の変更をして問題がないか充分に協議し、内部ルールのスムーズな変更をすることを考えましょう。ルールは利用者あってのものだからです。
【より良い法人にするための行動規範】
1.(差別の禁止)
職員の雇用や処遇にあたっては、各人の仕事内容や業績にしたがって平等に評価しなければなりません。また、性別、国籍、思想、宗教、身体上の特徴、その他個人的な特性に基づいた差別はいかなる場合でも行ってはなりません。
はっきりと差別であると言えない場合であっても相手に不快感を与える言動には注意しましょう。
2.(セクハラ、パワハラの禁止)
いかなる場合においても、自分の地位や立場を利用して性的な関係を強要することは許されません。
また、同様に上位の職員が下位の職員に対して、精神的な圧力をかけたり、不平等な労働を強要したりすることも許されません。
【セルフチェック項目】
社会は私たちに責任ある行動を求めていますが、この規定には全てのことが記載されているわけではありません。日常の業務の中で判断に迷ったときは、以下をチェック項目として自問自答してみてください。
あなたのその行動は
- 利用者や家族の期待に反していませんか?
- 社会の定めるルールに反していませんか?
- 法人の定める理念に反していませんか?
- 自分の良心に反していませんか?
- 福祉専門職としての良心に反していませんか?
- 世の中の尺度で見て、恥ずかしいと思えるもの、見られたら困ること、説明ができないことではありませんか?
- 問題があると思っていても、他の人がやっている、或いは以前からやっているという理由で何となく継続していませんか?